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脳腫瘍

脳腫瘍について

脳腫瘍は頭蓋骨の内側に発生する腫瘍で、良性と悪性があります。原発性脳腫瘍は頭蓋内の組織から発生し、転移性脳腫瘍は他の臓器から血流によって運ばれて発症します。原発性脳腫瘍は脳実質内腫瘍と脳実質外腫瘍に分類され、前者は悪性が多く、後者は良性が多いことが特徴です。
代表的な脳腫瘍には神経膠腫(グリオーマ)があり、特に膠芽腫は悪性で治療が難しいとされます。良性に分類されるものは、髄膜腫や下垂体腺腫、聴神経が一般的です。これらが全体の80%を占めるとされ、他の臓器からの転移性脳腫瘍も一部見られます。脳腫瘍の症状には頭蓋内圧亢進症状と局所症状があり、前者は頭痛や吐き気、意識障害など、後者は手足の運動障害や言語障害、けいれんなどが現れます。
脳腫瘍は多岐にわたる病態を持ち、早期発見と治療が重要です。

症状

代表的な症状

慢性的な頭痛

脳圧亢進によるもので、進行すると高い確率で現れます。朝が最も痛く、日中から夜にかけて和らぐ傾向にあります。

吐き気、嘔吐

頭痛に伴うもので、脳圧亢進が原因です。普通に食事ができる特徴があります。

神経系異常

腫瘍の増大に伴い発現します。視覚異常、手足のしびれ、記憶力低下などが現れます。

よくある症状

  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 視覚異常
  • 痙攣(てんかん)
  • 意識障害
  • 血圧上昇
  • 不整脈
  • 眼底のむくみ、腫れ、充血

局所症状

  • 片麻痺
  • 記憶力低下
  • 感覚障害
  • 視力、視野障害
  • 顔面神経麻痺
  • 見当識障害(自分の名前や年齢がわからない)
  • 運動性失語(言葉が思い出せない)
  • 失行(覚えられない)
  • 失認(物や顔を認識できない)
  • 同名性半盲(視界の半分が見えない)
  • 内分泌障害による尿量増加
  • 性機能低下
  • 構音障害(うまく発音できない)
  • 嚥下障害
  • 物が二重に見える
  • 眼振
  • 手足が思うように動かない

原因

脳腫瘍の原因は主に遺伝子変異とされていますが、具体的な理由は未だ解明されていません。家族に癌や脳梗塞の症例があるとリスクが高まるとされています。暴飲暴食や喫煙なども関与する可能性がありますが、詳細は不明です。脳腫瘍の知名度が高いのは悪性脳腫瘍の存在が一因であり、怖い病気の印象があるものの、良性脳腫瘍も多く存在しています。

検査

脳腫瘍の検査では主にMRIが推奨されます。CTも利用可能ですが、小さな脳腫瘍の発見には向いていません。MRIは腫瘍の検出だけでなく、詳細に判別する点で優れています。MRIの画像だけで診断は可能ですが、確定診断には病理検査が必要です。病理検査は生検または手術により、腫瘍の組織の一部または全部を採取し、その細胞を顕微鏡で観察して病気の性質を判断します。

MRI検査

治療

基本的な治療は手術で行われます。手術に加えて、放射線治療や化学療法が補助的に行われることもあります。手術で腫瘍を完全に摘出できない場合や、小さな病変が多発している場合、または悪性が確認された場合には放射線治療が追加されることがあります。最近では重粒子線治療の研究が進んでおり、放射線治療は効果が低いとされる腫瘍に対して期待されています。
無症候性の場合、必ずしも手術が必要ではなく、経過観察が選択されることもあります。一般的な手術は3~5時間で行われ、術後の入院期間は患者の回復状態により異なり、最短で1週間前後から、長い場合は6~8週間ほどかかることもあります。