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血管内治療

血管内治療とは

血管内治療は、カテーテルという特殊な器材を用いて血管内の病変にアクセスし、透視下で治療を行う方法です。通常、大腿動脈経由で行われ、脳血管検査と同様の手法が用いられます。この治療法は脳神経外科領域で急速に進化し、従来難しかった病変へも容易にアクセスでき、開頭手術よりも患者の負担が少なく、高齢者や合併症のある方にも適しています。脳梗塞の急性期の再開通治療や慢性期の再発予防治療、動脈瘤や血管奇形の塞栓治療、脳腫瘍の術前術後の補助治療など、様々な症例で利用され、手術後の安静と入院期間が短いなどの利点があります。

脳血管内治療の実際

脳血管内治療では、一般的に大腿動脈から細いカテーテルを挿入し、透視下で造影剤を用いてX線で観察しながら目的の部位に誘導します。直径0.5mmほどの「マイクロカテーテル」を使用して、非常に細かい操作で病巣にアクセスし治療を行います。この治療法は頭や首を切開せず、骨を外さないため肉体的な負担が少なく、治療翌日から食事や歩行が可能で、通常は治療3日後には退院できることがあります。

超急性期脳梗塞に対する経皮的脳血栓回収術

発症から24時間以内の脳梗塞についてはカテーテルによる脳血栓回収術が適応となることがあります。
特殊なステントを用いて血栓をからめとったり、吸引カテーテルで血栓を吸い取ったりします。
血栓を回収することにより、閉塞した血管が再開通すると脳梗塞に陥る範囲を最小限に抑えることができる可能性があります。

脳動脈瘤に対するコイル塞栓術

脳動脈瘤に対するコイル塞栓術は、マイクロカテーテルを使って動脈瘤内にプラチナ製の細い金属(プラチナコイル)を挿入する治療法です。このコイル挿入により動脈瘤内が血栓化し、破裂を予防できます。以前はくびれの広い動脈瘤に対しては不向きでしたが、動脈瘤塞栓支援用のステントの導入により治療が可能になりました。フローダイバーターステントの登場で、正常血管を保持しつつコイルを使わずステント単独でも動脈瘤を閉塞させる画期的な治療法も多く行われるようになりました。

頚動脈狭窄に対するステント留置術

頚動脈狭窄に対する治療として、頚動脈ステント留置術が行われます。生活習慣病や喫煙などが原因で頸部内頚動脈が動脈硬化し、狭窄が進むと脳梗塞のリスクが高まります。初めに薬物治療が試みられますが、狭窄が進行する場合には頚動脈ステント留置術が必要となります。この治療では、バルーンカテーテルを用いて狭まった頚動脈部分を拡張し、ステントを留置して血管を補強します。手術は局所麻酔で行い、通常1〜2時間で完了します。手術翌日から患者は食事や歩行が可能となります。

その他の脳血管内治療

脳動静脈奇形に対して異常血管の塊(ナイダス)や栄養動脈の塞栓術を行ったり、硬膜動静脈瘻に対してTAE(経動脈的塞栓)やTVE(経静脈的塞栓)を行ったりします。また、髄膜腫などの脳腫瘍に対して開頭手術での摘出に先立って腫瘍への栄養血管を塞栓することにより開頭手術中の出血を減らしたり、腫瘍を軟化させ摘出しやすくさせたりします。